コミュニケーション研究では、研究の対象となるコミュニケーションデータの取得が重要となってきます。しかし、場所を問わずに発生する偶発的コミュニケーションを記録できるシステムはこれまでありませんでした。
情報メディアのコストダウンやコンピュータの小型性能化などにより、一生分のコミュニケーションデータの記録も可能となりました。しかし、記録データのほとんどが不必要なデータとなります。そこで、本研究では、偶発的に発生するコミュニケーションをビデオ録画が可能であり、必要情報を得るために大量のビデオデータ処理が不要な装置WCR (Wearable Communication Recorder) を開発しました。
本システムは、コミュニケーション場面の中でも発生する場所や時間が特定できない、廊下でのすれ違いの際の会話などを想定環境としています。
必要情報を得るために大量のビデオデータ処理が不要となる実現方法として、コミュニケーションかどうかの選択を行い、コミュニケーション最中のみを記録しています。
近年、臨場感のある分散会議の実現方法として、複合現実感を用いた手法が研究されています。しかし、アバタをどのように表示するとよいのかについてはあまり分かっていません。複合現実感を用いた場合、従来のバーチャルリアリティを用いた場合とは違い、アバタの「現実世界上での」存在感が問題となってきます。
Tomoo Inoue, Yuriko Kourai, WCR: A Wearable Communication Recorder Triggered by Voice for Impromptu Communication, International Journal of Informatics Society, Vol.2, No.2, pp.57-63, 2010.