キューによる行動調整

実世界で行われる協調作業では、しばしば作業順番の暗記が求められます。しかしその作業の初心者にとって、作業順番を覚えることは難しく、また作業中は順番のことばかり気にしてしまい、他の注意を向けるべきことに意識が向かないこともあります。

そこで本研究では、作業順番の暗記が必要な実世界協調作業として、初心者を対象にした演劇練習に注目し、演技の順番をスマートウォッチを通して伝えるキューイングシステムを開発しました。演者はスマートウォッチを装着し、自分の演技順番が近づいたら振動します。このシステムを用いることで演者は、いつが自分の演技の番か気にすることなく、自分がどのようにセリフを話すべきか、どのように動くべきかなどに注意を向けることができます。

このキューイングシステムは、演劇練習だけではなく、作業者が順番に自分のタスクをこなしていくことで完成するような作業にも利用可能であると考えられます。


発表文献

  • Ryosuke Takatsu, Naoki Katayama, Tomoo Inoue, Hiroshi Shigeno, Ken-Ichi Okada, A wearable system with individual cuing for theatrical performance practice, Collaboration and Technology (Proceedings of the 22nd International Conference, CRIWG 2016), LNCS 9848, pp.37-49, 2016.9.
  • Ryosuke Takatsu, Naoki Katayama, Tomoo Inoue, Hiroshi Shigeno, Ken-Ichi Okada, A wearable action cueing system for theatrical performance practice, Collaboration Technologies and Social Computing (Proceedings of the 8th International Conference, CollabTech 2016), CCIS 647, pp.130-145, 2016.9.
  • Kosuke Sasaki, Tomoo Inoue, “Coordinating Real-Time Serial Cooperative Work by Cuing the Order in the Case of Theatrical Performance Practice”, Mobile Information Systems, vol. 2019, Article ID 4545917, 10 pages, 2019.2.