複合現実感とは下図のように、現実世界の映像にCGを重ね合わせて利用者に提示することで、現実世界と仮想世界を合成する技術のことです。利用者には、あたかもCG が現実世界中に存在しているように見えます。
遠隔地からの会議参加者を、複合現実感を用いてCG アバタとして現実世界上に重畳表示することにより、分散会議を実現できます。
近年、臨場感のある分散会議の実現方法として、複合現実感を用いた手法が研究されています。しかし、アバタをどのように表示するとよいのかについてはあまり分かっていません。複合現実感を用いた場合、従来のバーチャルリアリティを用いた場合とは違い、アバタの「現実世界上での」存在感が問題となってきます。
私たちは、アバタの大きさや外観のデザインだけでなく、アバタ間の距離やそれらの配置といったアバタの空間的なデザインに着目しており、人とアバタ間の位置関係に関する基礎的実験や会議実験を通して、このような空間の利用可能性を探り、高めることを目標としています。例えば、会議の様子を分析した結果、アバタの位置と向きが動く場合にはそうでない場合に比べて、参加者は個々のアバタをよく見ることが分かっています。
主な発表文献
- 井上智雄, 実対人距離を調節可能な複合現実分散会議システム, 情報処理学会論文誌, Vol.50, No.1, pp.1234-1241, 2009.
- 野口康人, 井上智雄, 複合現実感を用いた分散会議における複数アバタの配置と表現, 情報処理学会論文誌, Vol.48, No.1, pp.54-62, 2007.